【創作小説】冒険がしたい2
(公開日:)
「西の山のふもとから、変な匂いがするんですよ」
【お断りだ】
ヘンナノのことは少々無視しましょう。
町の人からの、調査の依頼です。キタノキタから西に伸びる道が山に入った辺りで、何やらとても不快な匂いがするんだとか。付近の山肌には異変はなさそうなので、いくつかある洞窟のどれかなのではないか、というところまでは進んだものの、人や動物には不快な匂いでも魔物は問題なさそうに動いているらしく、下手な身動きはできないと判断しているそうです。
「まずは、どこの洞窟が怪しいのかだけでも、お願いできませんかね」
【お断りだ】
ヘンナノには少々我慢してもらいましょう。
これはむしろ、ヘンナノの嗅覚が活躍できる依頼であるともいえます。冒険に苦難は付き物なのです。
ヘンナノに頑張ってもらうために、今日は町でゆっくり休みましょう。お店では、新鮮な野菜で作られた栄養豊富な料理が食べられます。
ヘンナノは、青い花のスープを頼みました。
あなたは何を選びますか?
→赤い芋のサラダ
青い花のスープ
黄色い豆のカレー
スープを飲む度にヘンナノの羽の青が濃くなっているような気がしますが、問題ないのでしょうか。あなたは念のため自分の肌色を確認しましたが、別に赤くなってはいませんでした。良かったですね。
尚、翌日の朝には、ヘンナノの色は元に戻っていました。良かったですね。
西へと出発する前に、魔除けの花をもらいに畑へ来ました。
色とりどりの花が咲いていますが、ほとんどの花に効果があるんだそうです。
「横になっていくといいですよ。匂いがついて、街道なら魔物知らずです」
町の人の話を聞いて、ヘンナノが花へ飛び込んでいきました。あなたも一緒に飛び込みましょう。
花の中に、昨日の青い花を見つけました。と思ったらヘンナノに食べられてしまいました。また少し青くなりましたね。町の人も止めていないし、まあ大丈夫なんでしょう。
花を袋に詰め込んで、いよいよ冒険です。
今度こそ戦闘があるかもしれません、気を引き締めていきましょう。
【帰りたい】
早速ヘンナノが音を上げました。
西の山は、背の高い木に覆われた、一見何の問題もない風景に見えます。しかし、薄くはありますが確実に、甘いような苦いような、奇妙な匂いで包まれていました。
早く依頼を終わらせようとなのか、空の方が匂いが薄いのか、ヘンナノが勢いよく飛び立ちました。そしてすぐにボードを出しています。遠くからだと見にくいのですが、下りてきてはくれませんね。
【魔物が6、敵意】
なるほど、ボードを振っている先の方角に気配を感じますね。縦一列の陣形で、徐々に距離を詰めてきています。数は多いですが、ここは草の丈も長く動きにくいので、あなたが間合いをとるのに苦労はしません。
さて、まずどうやって仕掛けますか?
→短剣で手前の奴を散らす
側面に回り込み奇襲をかける
大きな木の枝を拾い全てをなぎ倒す
あなたは王道のやり方でいくことにしました。
こちらからズンズンと進み、まずは手前の敵を一薙ぎで沈めます。魔物の群れが怯んだ一瞬を見逃さず、次の敵を伏せ、リズムに乗って残りも畳んでいきました。
一応ヘンナノの無事を確認しましたが、まあ空なので問題ありませんでしたね。
【強すぎカッコイイ】
悠長なことが書いてありますが、やはり下りては来ません。匂いが少しでも楽になってやる気を出してもらえるなら、このまま空にいてもらった方がいいのかもしれませんね。
【ヒトが倒れてる】
ヘンナノの報告を見て、あなたは急いで移動しました。魔物がいる山ですから、倒れているヒトが生きているかもわかりませんが、救えるならそうしたいところですからね。
少しだけ山を登った先に、洞窟と思われる岩の裂け目がありました。その前に蹲っているように見えるのは、確かにヒトのようです。
「うっ…うえぇ…」
ローブを着て仮面を付けた、声は男性のようです。怪我はしていませんが、苦しいのでしょうか、うめき声をあげています。
「くさい…く…さ…おえぇ」
あ、臭かったみたいですね。そういえばあなたとヘンナノは町で花の匂いを纏わせてきたわけで、実際にはもっとキツく感じるのかもしれません。
持ってきた花を嗅がせてあげましょう。そして、一度この場所からは距離を置きましょう。
やっと落ち着きを取り戻した彼、魔法使いのホーツカイは、渦巻き模様の仮面の角度を正しながら語りました。
匂いに困っているという噂を知り調査に来た、こんなに臭すぎるとは思っていなかった、と。
【花が無ければ私も飛べてない】
空の上からの同意には、確かに説得力があります。先ほどの洞窟が発生源とみて間違いないでしょう。
さて、これからどうしますか?
→洞窟で具体的な発生源を調査
町へ戻って報告
【待ってていい?】
ヘンナノの反応は想定内でしょう。ただ、あなたはこれだけでは何も解決できないことを直感しています。そして何より冒険者ですから、行ける余裕があるのに行かない選択はないのですね。
「私も行きます。魔法には結構自信がありますよ」
ここでホーツカイが仲間になりました。ちゃんと守ってあげましょうね。
洞窟の中は、狭い一本の道が続いていました。あなたが手を広げて少し余裕がある程度でしょうか。上には結構余裕はありますが、大きな武器を振り回せるほどではありません。持っているのが短剣で良かったですね。
魔物はいないようです。いえ、小さな魔物が倒れています。生きていないことを確認して、あなたは手を合わせました。前を向くと、その先に倒れているのも小さな魔物ですね。
どちらにも外傷が無いのが気にかかります。今回の問題は、ホーツカイの様子を見ても、人間への害は匂いだけのようです。魔物にとってはどうなのでしょうか。無臭のままここに近づいて倒れているという可能性はないでしょうか。
ホーツカイも魔物を見比べています。そして、手を挙げました。
「これ、吸収系の魔力じゃないですか?」
曰く、この魔物達は小さいのではなく、縮んでいる。魔物を魔物たらしめている「肉体的な魔」の部分が無くなっている状態である。ホーツカイ自身の「霊体的な魔」に影響はなく、むしろ匂いは人間や動物を遠ざける為の働きをしている。この先の何かは、効率よく魔物の魔を吸収しながら成長する、もしかしたら同じく魔物の可能性がある。
「モンスターイーター。レアではあるらしいんですけど」
確定ではないですし、用心して進みましょう、とのホーツカイの忠告は、流石の魔法使いですね。
洞窟の最奥は、かなり広い空間になっていました。真上から微かに光が差していて、外の空気の分、少し匂いが和らいでいます。ありがたいですね。
壁の岩に埋まるように張り付いているのは、やはり魔物でした。形で言えば、海の特産物であるタコの緑色です。しかしそれが、まるで家のような大きさにまでなっていました。
「大きいですけど…許容内ですね」
ホーツカイは冷静です。彼はベテランなんでしょうか。
魔物はこちらに気付き、触手を伸ばしてきました。
さあ、どう攻略しますか?
→切る
焼く
食べる
1、まずはそのままでは大きすぎるので細かく刻みましょう。短剣だけでは難しいですが、あなたには「ぶつ切り」から「みじん切り」まで様々な包丁捌き、ではなく必殺技があります。
2、ホーツカイが火の魔法「あぶり焼き」を繰り出しました。これは強力な一撃です。少し火が通りすぎたかもしれませんが、辺りが一気においしそうな匂いになってきました。
3、知らないうちにいたヘンナノがタコをつつき始めました。あれだけ匂いを嫌がっていたのに現金なものです。
【うまいよ】【栄養たっぷり】
あなたは意を決し、それを口にしてみました。味のほどは横のホーツカイの満足そうな頷きでわかりますね。
匂いはいつの間にか無くなっていました。発生源はタコ…モンスターイーターのものでしょうが、あぶり焼きで全て燃えてしまったのか、タコのどの部分だったのかは分からずじまいです。
しかし、それでもいいのでしょう。久しぶりに花の爽やかな香りをめいっぱい感じ、ヘンナノは満足そうです。ホーツカイも深呼吸をしています。
あなたはタコ…タコにしか見えないですね…のあぶり焼きを報告用に包みました。果たしてこれが本当に証拠になるのでしょうか。
ただ、あなたもヘンナノもホーツカイも、確信しています。
「絶対に、美味しいとは言ってもらえますね」
ホーツカイと共に、キタノキタへの帰路を急ぎましょう。
おいしい御馳走を、みんなで共有するために。