こゆめ【夢小説】主人公がハマっているVtuberが会社の後輩だった話

【夢小説】主人公がハマっているVtuberが会社の後輩だった話

(公開日:

使用:Gemini2.5Pro、Gemに基本条件を入れている

【設定】
・世界観:現実
・雰囲気:明るい
・主人公:Vtuberのリスナー、社会人
・相手:Vtuberの中の人、声に色気が混じる、大きくて逞しい体、明るいワンコ系、主人公の後輩
【あらすじ】
主人公はあるVtuberの熱心なリスナー。色気のある声が好きでスマホで聴いたりしている。ところが最近、以前から主人公に懐いていた後輩の声が、かなりそのVtuberに似ていることに気付く。体格が違うので気のせいだろうと思っていたが、スキンシップをしてくる相手の声が耳元で響く度に、意識してしまう。ある日、さり気なくVtuberのことを話題に出してみたところ、どんなところが好きなのかと訊かれる。その声があまりにも本人に似た調子だったので、主人公は答えを出せなかった。
【裏情報】
・Vtuberのモデリングは相手より細身で少し静かなキャラを演じている
・相手は以前から主人公に想いを募らせており、主人公が自分のファンであると知って利用できると思っている
・相手は主人公に生身の自分を見て欲しいし、素の自分の声でとろけて欲しい
・相手はVtuberとしての自分にも嫉妬している
【リクエスト】
・相手の声の色気の描写を重視
  • 「リクエスト」という項目を試していた→なんか面倒なのでこれ以降はやめた
  • 裏情報を多めに入れる形の方が楽かなと思う

週末の夜、あおいは自室のベッドに寝転がり、スマートフォンを耳元に寄せていた。画面の向こうから流れ込んでくるのは、ここ数ヶ月ですっかりお気に入りになったVtuberの声だ。落ち着いたトーンでありながら、時折ふっと吐息と共に零れるような、微かな湿り気を帯びた響き。その声が、あおいの鼓膜を心地よく震わせる。彼の声に、他の誰にも感じたことのない種類の色香を感じ、知らず知らずのうちに惹かれていた。

その声の主であるVtuberは、細身で少しミステリアスな雰囲気のキャラクターとして描かれている。しかし、最近になってあおいは奇妙な偶然に気が付いてしまった。あの蠱惑的な声が、職場の後輩の声と驚くほど似ているのだ。

後輩は、あおいよりも幾分か年下で、誰にでも屈託なく笑いかける、いわゆる「ワンコ系」の青年だった。太陽のような明るさと、鍛えられた大きな体躯が印象的で、Vtuberの繊細なイメージとはかけ離れている。だからきっと気のせいだ、そうあおいは自分に言い聞かせていた。Vtuberの演じるキャラクターと、快活な後輩の姿が、どうしても頭の中で結びつかなかったのだ。

けれど、日常の中で彼と接するたび、その疑念は胸の奥でじわりと広がっていく。
後輩はよく、親しみを込めた仕草であおいに触れてきた。打ち合わせの合間に隣に座り、「先輩、これ見てくださいよ」とスマートフォンを覗き込ませる時、彼の肩があおいの肩に軽く触れる。その距離で発せられる声は、普段よりも低く、そして甘く響いた。まるで耳元で囁かれているかのような錯覚に陥り、あおいは心臓が跳ねるのを感じずにはいられない。

「お疲れ様です」
ある日の残業終わり、誰もいなくなったオフィスで不意に背後から声をかけられた。振り返ると、いつものように人懐っこい笑顔を浮かべた後輩が立っている。彼がふと屈んであおいのデスクに手をついた瞬間、その大きな体が影を作り、包み込まれるような感覚があった。そして、吐息がかかるほどの距離から響く彼の声。
「先輩、顔色あんまり良くないですよ。無理しないでくださいね」
それは紛れもなく、いつもの後輩の声のはずなのに。その声の奥に、あのVtuberが時折見せる、蕩けるように甘い響きが重なって聞こえて、あおいは息を呑んだ。スマホのスピーカー越しとは違う、生身の人間の喉から発せられる声の振動が、直接肌に伝わってくるかのようだ。鼓膜を通り越して、脳髄に直接染み込んでくるような、抗いがたい色気。あおいは、彼の逞しい喉元を無意識に見つめていた。

気のせいだと思いたい。けれど、意識すればするほど、彼の発する声の端々に、あのVtuberと同じ特徴的な音の揺らぎ、甘い息遣いを感じ取ってしまう。特に、不意に距離が近づいた時、彼の声はぞくりとするほど艶を増すのだった。

このままではいけない。確かめなければ。そんな思いに駆られ、ある日の休憩時間、あおいはさり気なさを装って後輩に話しかけた。周囲には他の社員もいたが、タイミングを見計らい、二人きりになれる瞬間を待った。給湯室で彼がコーヒーを淹れている時だった。
あおいは、最近ハマっているVtuberがいるのだと切り出した。彼がどんな反応をするのか、固唾を飲んで見守る。
後輩は、マグカップを片手にくるりと振り返った。その大きな瞳が、興味深そうにあおいを捉える。
「へえ、Vtuberですか。先輩もそういうの見るんですね」
その声は、いつもの快活な青年のものだ。あおいは少しだけ肩の力を抜き、特に彼の声が好きで、よく作業中に配信を聴いているのだと伝えた。すると、彼はふっと表情を和らげ、一歩あおいに近づいた。そして、悪戯っぽく片方の眉を上げ、こう尋ねてきた。

「……どんなところが、好きなの?」

その声。
それは、あおいが毎晩のようにイヤホン越しに聴いている、あの声そのものだった。低く、甘く、そしてリスナーの心を試すような、僅かなSっ気を含んだ響き。Vtuberが配信で特別なセリフを囁く時の、あの蠱惑的な調子。
目の前にいるのは、確かにいつもの後輩のはずだ。しかし、彼の唇から紡がれたその声は、あまりにも「本人」に酷似していた。
あおいは、言葉を失った。まるで、秘密の扉の鍵を渡されたかのような衝撃。スマホの向こう側の、手の届かない存在だと思っていた声の主が、今、すぐ目の前にいる。その事実が、あおいの思考を真っ白に染め上げていく。

後輩は、答えられないあおいをじっと見つめている。その大きな瞳の奥には、先程までの人懐っこい光とは違う、何かを見透かすような、そして期待に満ちた熱っぽい光が揺らめいていた。その視線は、まるであおいの心の奥底まで見通し、全てを知った上で問いかけているかのようだ。
彼は、あおいが自分のファンであることに気づいているのかもしれない。そして、それをどう利用しようと考えているのだろうか。
いや、それ以上に、彼は――生身の自分を見て欲しいのだろうか。キャラクターの仮面を脱ぎ捨てた、素の自分の声で、あおいを蕩けさせたいと、そう願っているのだろうか。
ふと、彼が演じるVtuberは、彼自身よりも少し華奢で、物静かなキャラクターだったことを思い出す。もしかしたら彼は、そのギャップにさえ、あるいはVtuberとしての自分自身にさえ、密かな苛立ちを抱いているのかもしれない。

彼の唇が、再び何かを紡ごうと微かに動く。その吐息が、またあおいの耳にかかるような錯覚。
あおいは、ただ彼の声の甘美な残響に囚われたまま、身動き一つできずに立ち尽くしていた。これから何が始まるのか、あるいは何も始まらないのか、その答えはまだ、彼の艶やかな声の奥に隠されている。

  • スマホ耳に寄せたらVtuberの姿が見れなくないか?
  • 「このままではいけない→確かめなければ」流れのためとはいえ主人公は時々頭が弱い
  • 「~のだろうか」みたいな安易な開示はよく見られるので暖かく見守ってほしい
これの相手視点をお願いします。

あの人が俺の配信を聴いていると知ったのは、本当に偶然だった。
先輩、あおいさんが、昼休みにイヤホンで何かを熱心に聴いている姿はよく見かけていた。まさかそれが、俺が魂を込めているVtuberのアーカイブだとは夢にも思わなかった。ある日、彼女が席を外した一瞬、PCの画面に小さく表示されていた配信サイトのロゴと、見慣れたサムネイルが目に飛び込んできたのだ。心臓が喉から飛び出るかと思った。

あおいさんのことは、入社した時からずっと特別だった。いつも穏やかで、少し天然なところもあるけれど、芯はしっかりしていて、仕事も丁寧。何より、時折見せる笑顔がたまらなく魅力的で、気づけば目で追っている自分がいた。この気持ちが単なる後輩としての親愛の情ではないことは、とうの昔に自覚している。

だから、彼女が俺の「声」のファンだと知った時、天にも昇るような喜びと、同時に複雑な感情が胸に渦巻いた。嬉しい。素直に嬉しい。でも、彼女が好意を寄せているのは、あくまで画面の向こうの、細身で少しミステリアスなキャラクターを演じている「俺」であって、この大きくて筋肉質な、太陽みたいに明るいと評される「素の俺」ではないのかもしれない。その事実が、じりじりと胸を焼く。Vtuberとしての俺に、嫉妬すら覚えるなんて滑稽だ。

それ以来、俺は意識してあおいさんに近づくようになった。元々、人懐っこい性格を隠すつもりはないし、彼女にはもっと俺という人間を知ってほしかった。打ち合わせで隣に座る。資料を渡すふりをして指先を触れさせる。残業で疲れている彼女に、そっと缶コーヒーを差し出す。そのたびに、彼女の反応を盗み見ては一喜一憂した。

特に気を遣ったのは「声」だ。Vtuberの時は、キャラクターに合わせて少し高めの、そして意識的に色気を滲ませるようなトーンで話す。だが、普段の俺の声は、もっと低く、ストレートな響きだ。それでも、あおいさんの前では、時折、無意識にあのVtuberのような甘い響きが混じってしまうことがあった。彼女がドキリとしたような表情を見せるたび、俺の心臓は期待で大きく跳ねた。気づいてほしい。画面の向こうの声の主が、すぐそばにいるのだと。そして、この逞しい体躯を持つ生身の俺自身に、彼女の心を射抜かれてほしいのだと。

ある日の残業終わり、オフィスには俺と彼女だけになった。チャンスだと思った。
「先輩、顔色あんまり良くないですよ。無理しないでくださいね」
彼女のデスクに手をつき、少し屈んで、できるだけ優しい声で囁いた。彼女の髪の香りがふわりと漂い、くらりとしそうになるのを懸命に堪える。彼女が、驚いたように俺の喉元を見つめた。その視線に、俺の期待はさらに膨らんだ。

そして、ついにその時が来た。休憩時間、給湯室で二人きりになった時、あおいさんが切り出したのだ。「最近ハマっているVtuberがいる」と。
平静を装いながらも、内心は嵐のようだった。まさか彼女の方からその話題を振ってくれるなんて。
「へえ、Vtuberですか。先輩もそういうの見るんですね」
努めて普段通りの快活な後輩を演じる。彼女が俺の名前を挙げるのか、それとも……。
彼女の口から「声が好き」という言葉が零れた瞬間、俺は勝利を確信した。同時に、胸の奥で燻っていた嫉妬が再び顔を出す。彼女が好きなのは、結局「声」なのだ。この、俺自身ではなく。

もっと、俺を見て欲しい。Vtuberの仮面越しではなく、この生身の俺を。
この大きな体で、君を包み込みたい。この素の声で、君を蕩けさせたい。
その強い衝動に駆られ、俺は賭けに出た。
一歩、彼女に近づく。悪戯っぽく片眉を上げて、そして、あのVtuberが配信でリスナーを試す時のような、低く、甘く、色気を最大限に込めた声色で、彼女の瞳をじっと見つめて問いかけた。

「……どんなところが、好きなの?」

あおいさんは、息を呑んで固まった。その表情が、全てを物語っていた。ああ、やっと気づいてくれた。俺の声に、そして、もしかしたら俺自身にも。
彼女の戸惑いと驚きが入り混じった顔を見つめながら、俺は高鳴る鼓動を抑えきれない。その答えを、俺はもう知っている。彼女が求めている声の主は、今、目の前にいるのだと。
彼女の白い喉が小さく上下するのが見えた。何を考えているのだろう。どんな言葉が紡がれるのだろう。
俺はただ、熱っぽい視線で彼女を射抜きながら、その答えを待った。彼女の全てを、この腕の中に閉じ込めてしまいたい。そんな独占欲が、腹の底から湧き上がってくるのを感じていた。

  • あ、聴くタイプの配信なのかな
  • 素のワンコ、声高いのかと思っていたらむしろ低かった
続きとして主人公視点三人称に戻ってください。
【あらすじ】
主人公はこの日もVtuberの配信を見ていた。好きな声なのは変わらないが、今までのように落ち着いて聴くことができない。配信後、相手から「家に行く」というメッセージが届く。心の準備もままならぬまま、相手は主人公の部屋にたどり着いていた。配信はどうだったか訊かれ、主人公は上手く答えを返せない。しかし、相手の大きな体が主人公を包み込むと、主人公は身を委ねた。声のない、触れ合いだけの時間を、主人公は受け入れていた。
【裏情報】
・主人公は前回の物語後に相手と付き合っている
・相手は相変わらずVtuberとしての自分に嫉妬しているが、主人公に受け入れられ内心歓喜する
  • 家に来る流れにしよう→主人公が受け入れる理由がわからんからとにかく付き合わせよう、とかいう安易なあらすじ
  • 声じゃなくても主人公は相手が好きになってるんだよと言いたかったが今から見ると指定の方法を完全に間違えている

あの衝撃的な問いかけの後、あおいと彼の関係は静かに、しかし確実な変化を遂げていた。あの蠱惑的な声の持ち主が、太陽のように明るい後輩であるという事実は、未だにあおいの中で不思議な感触として残っている。そして今、二人は恋人同士という間柄になっていた。

その日も、いつものようにVtuberの配信が始まった。あおいはスマートフォンの画面を見つめる。画面の中の彼は、今日もまた、あの色気のある声でリスナーを魅了している。その声が好きだという気持ちに嘘はない。けれど、以前のように無邪気に、ただ純粋にその声を堪能することができなくなっていた。彼の素顔を知ってしまったから。配信で流れる声と、日常で交わされる彼の声、そして時折、二人きりの時にだけ聴かせてくれる甘い囁き。それらが複雑に絡み合い、あおいの心を揺さぶる。

配信が終わった直後、スマートフォンの通知が鳴った。彼からのメッセージだった。
「今から家、行っていい?」
短い文面に、あおいの心臓がとくんと跳ねる。まだ配信の興奮と、彼に対する言いようのない感情の渦が胸の中で静まっていない。心の準備も何もできていない。けれど、彼からの申し出を断るという選択肢は、今のあおいにはなかった。了承の返事を送り、浅い息を繰り返す。

ドアのチャイムが鳴ったのは、それから間もなくだった。深呼吸を一つしてドアを開けると、そこにはいつものように屈託のない笑顔を浮かべた彼が立っていた。けれど、その大きな瞳の奥に、何かを期待するような、あるいは少し不安げな光が揺れているのをあおいは見逃さなかった。

部屋に招き入れると、彼はソファに腰を下ろすでもなく、あおいのすぐそばに立った。そして、まるで先程までの配信の続きのように、あるいはリスナーの反応を確かめるように、こう尋ねてきた。
「今日の配信、どうだった?」
その声。それは、配信で聴いたばかりの、鼓膜を蕩かすような色気を帯びた響きと、普段彼が発する快活な声色が絶妙に混ざり合った、不思議なトーンだった。彼が、Vtuberとしての自分と、素の自分とを、あおいの前でどのように使い分けているのか、あるいは使い分けようとしているのか。

あおいは、どう答えるべきか迷った。正直に、以前のように純粋には楽しめないと告げるべきか。それとも、Vtuberとしての彼をただ称賛するべきか。言葉を選ぼうとすればするほど、喉が詰まるような感覚に陥る。彼の大きな体が、すぐ目の前にある。その存在感が、言葉以上に雄弁に何かを訴えかけてくるようだった。

あおいが答えに窮し、俯きかけた瞬間だった。彼は何も言わず、ふわりと大きな両腕を広げ、あおいの体をその中に包み込んだ。驚く間もなかった。彼の胸板は厚く、逞しい腕は驚くほど優しい力であおいを抱きしめている。彼の肩口に顔を埋める形になり、嗅ぎ慣れた彼の匂いと、確かな温もりが全身を包み込む。

そこには、言葉はなかった。
ただ、触れ合う肌の温もり。彼の規則正しい心臓の鼓動が、あおいの耳に直接響いてくる。Vtuberの声も、彼が演じるキャラクターのことも、今はどこか遠い世界のことのように感じられた。この温もり、この確かな存在感こそが、紛れもない現実。あおいはそっと目を閉じ、彼の背中にゆっくりと腕を回した。その瞬間、彼の腕の力がほんの少しだけ強まったような気がした。

声に対する複雑な感情が、完全に消え去ったわけではない。けれど、この温もりの中で、あおいは確かに彼自身を受け入れていた。言葉にしなくても、この触れ合いだけで伝わる想いがある。それは彼も同じなのかもしれない。Vtuberとしての自分への嫉妬を抱えながらも、生身の自分がこうして受け入れられていることに、彼は静かな歓喜を感じているのかもしれない。

窓の外は、いつしか深い夜の闇に包まれていた。部屋の中には、二人の穏やかな呼吸の音だけが、静かに響き渡っていた。

  • 「何かを訴えかけてくるようだった」「歓喜を感じているのかもしれない」そういう露骨な出し方を止めろ!(でも指摘は面倒なのでしない)
  • そういえば指定は「静かなキャラ」だったのにだいぶ蠱惑的に寄ってるな…
これの相手視点をお願いします。

今日の配信も、正直なところ上の空だった。
マイクの向こう側にいる無数のリスナーよりも、たった一人、あおい先輩がどんな表情で、どんな想いで俺の声を聴いているのか。そればかりが気になって仕方がなかった。Vtuberとしての俺が発する、計算された色気を孕んだ声。それを、彼女は「俺」の声として認識してくれているのだろうか。それとも、画面の中の、現実の俺とは少し違うキャラクターの声として、切り離して聴いているのだろうか。

あの夜、俺の正体に気づいた彼女の驚いた顔。そして、紆余曲折を経て、俺たちは恋人同士になった。夢のようだった。けれど、心のどこかでは、あの細身でミステリアスなVtuberの仮面を被った俺への好意と、この大きな体躯を持つ、快活なだけの後輩としての俺への感情は、果たして同じものなのだろうかという疑念が、小さな棘のように刺さったままだった。Vtuberとしての自分に嫉妬するなんて、馬鹿げているとは思うけれど。

配信を終え、機材の電源を落とした瞬間、もういてもたってもいられなくなっていた。気づけばスマートフォンを手に取り、彼女にメッセージを送る。
「今から家、行っていい?」
送信ボタンを押してから、ほんの少しだけ後悔した。あまりにも衝動的すぎただろうか。だが、すぐに届いた「いいよ」という短い返信に、俺の心は歓喜に打ち震えた。逸る気持ちを抑えきれず、彼女の部屋へと急ぐ。

ドアを開けてくれたあおい先輩は、少し戸惑ったような、それでいてどこか甘やかな表情を浮かべていた。その顔を見ただけで、来てよかったと心から思う。
部屋に入り、彼女と向き合う。何か言わなければ。でも、何を?
結局、口から出たのは、いつもの配信後のように、ほんの少しVtuberの口調を混ぜた問いかけだった。
「今日の配信、どうだった?」
我ながら、ずるい問いかけだとは思う。彼女がどんな反応をするのか、試すような響きが含まれていたかもしれない。
案の定、彼女は言葉に詰まった。その表情が、彼女の中でまだ何かが整理できていないことを雄弁に物語っていた。それが少しだけ、チクリと胸を刺す。分かっている。俺自身も、この二つの自分をどう扱えばいいのか、まだ手探りなのだから。

彼女が答えを探して視線を彷徨わせる姿が、たまらなく愛おしい。もう、言葉なんて必要ないのかもしれない。俺が欲しいのは、言葉よりももっと確かなもの。
そっと手を伸ばし、彼女の華奢な肩を掴む。そして、そのまま引き寄せて、大きな腕でその体をすっぽりと包み込んだ。この瞬間が、いつも一番緊張する。もし、彼女の体が強張ったままだったら?もし、拒絶の気配を感じたら?
けれど、杞憂だった。最初は少し驚いたように固まっていた彼女の体が、やがてふっと力を抜き、俺の胸に顔を預けてくれた。その瞬間、張り詰めていた全身の力が抜けるような安堵感と、言葉では言い表せないほどの熱い歓喜が、腹の底から込み上げてくるのを感じた。

ああ、よかった。
彼女の温もり、しなやかな体の感触、そして俺の背中にそっと回された彼女の腕。その全てが、俺にとって何よりの肯定だった。
Vtuberとしての俺の声も、演じているキャラクターも、彼女が好きだと言ってくれるならそれはそれで嬉しい。でも、今、この腕の中で感じているのは、紛れもなく「素の俺」への信頼と、そしておそらくは愛情だ。それだけで、もう十分すぎるほどだった。胸の奥で燻っていた嫉妬心なんて、この確かな温もりの前では取るに足りないものに思えてくる。いや、完全に消え去ったわけではないけれど、それ以上に大きな、圧倒的な幸福感が俺の心を隅々まで満たしていく。

しばらくの間、ただ黙って彼女を抱きしめていた。彼女の穏やかな呼吸が、俺の鼓動と静かに重なり合う。この静かで満たされた時間こそが、俺がずっと心の底から求めていたものなのかもしれない。彼女の髪にそっと顔を埋めると、ふわりと甘い香りがした。この確かな温もりと存在が、今の俺の世界の全てだ。
これからも、Vtuberとしての俺と、生身の俺との間で、彼女を少し悩ませてしまうことはあるのかもしれない。それでも、この腕の中に彼女がいてくれる限り、俺はきっと大丈夫だ。そう、確信できた。

  • 上の空すんな!リスナーに対して真面目にやれ!
  • こういう変に重かったり逆に軽かったりみたいなバランスを取るのが難しいけど、何度か試すと良いのが出ることもある(しかし私はほぼやり直さない)